NHKビジネスクリエイト

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字幕放送を支える!
~ 番組音声を文字情報に 〜

字幕放送を支える!
~ 番組音声を文字情報に 〜

聴覚障害がある方やテレビの音が聞こえづらい方、テレビの音を出すことができない状況にいる方に、番組音声を文字情報でお伝えする「字幕放送」。 リモコンの“字幕ボタン”を押してご利用いただけます。NBCは字幕制作のためのオペレーター業務を担い、字幕放送を支えています。

字幕の種類と主な番組

■ オンライン字幕

ニュース生放送番組の字幕(正午ニュースなどの定時ニュース、「首都圏ネットワーク」など)

オペレーター業務は3人1組。「音声認識装置」が認識・変換した文字情報に、改行や句読点、漢字の変換など、必要な部分に手を加えます。音声認識装置が認識しづらいときは、1人が音声を聞きながら復唱(リスピーク)し、認識率を高めます。

■ オフライン字幕

事前収録番組の字幕(「鶴瓶の家族に乾杯」「SONGS」など)

オペレーター業務は基本1番組1人。番組音声を文字に起こして字幕データを作成し、字幕の表示色、位置、時間の設定などを行います。

ニュース字幕の裏側

2017年9月撮影

字幕業務を担当している社員に仕事の魅力や大変さを聞きました。

(2012年入社)
「復帰するときは不安もたくさんありました」
(2012年入社)

知識量を問われる仕事

日頃の知識量が問われますね。定時ニュースは事前に準備できますが、緊急で入ってきたニュースは、ポーンと飛び込んできて、こちらに何も情報がない中でアナウンサーがどんどん原稿を読み上げていきます。知らない言葉や聞き慣れない言葉が出てくると、ドキッとしたり、ひやっとしたり。そうならないためにも、いろいろなところで分野を問わず、アンテナを張っています。

細心の注意と適度な緊張が大切

緊急ニュースの中には、初めての言葉も出てくるので、特に固有名詞、人名など全く情報がない場合は、間違いのないように「ひらがな」で字幕にするのが原則です。もちろん、そのひらがなにも間違いがないように、細心の注意を払って。すごく緊張しますが、緊張しなくなったら逆に終わりだと思っています。間違いが見つけられなくなると思うので。もちろん、ガチガチになって動けなくなると、もうどうしようもないんですけど、緊張するからこそ間違いに気づくことができると思います。この緊張を楽しめる域に達したいですが、まだ全然ですね。

いい意味で鳥肌がたつときも

緊急ニュースは事件・事故ばかりでなく、うれしいニュースも飛びこんできます。日本人のノーベル賞受賞とか、スポーツ選手の偉業達成とか。「ミスなく、とにかく頑張ろう!」という気持ちになって、いい意味で鳥肌がたちますよね。

チームワークと達成感

仕事が終わると気持ちいいですね。リスピークがいて、修正者が2人いて、3人で1チームみたいな感じなので、スポーツをした後のような達成感があります。修正も2人でやるので、私が見落としてしまったとしても、もう1人がフォローしてくれます。お互いのことが作業画面を通して、よくわかるんですよね。「あ、今日は疲れているな」とか。逆に、私も「ごめんね」って思ったり。 みんなとても仲がいいんです。というか、仲良くないとできないと思います。間違いに気づいても直してあげない、ということができてしまうので。もちろん、NBCにはそんな人はいません。休憩時間にはご飯をみんなで食べるんですが、「今日はこんなニュースがあったね」とか「よくできたね」とか、コミュニケーションをとても大事にしています。

地味でも使命感がある

入社したときはみんな、オペレーター業務は初めてだと思います。私もそうでした。 ひとつひとつ研修で画面を触るところから覚えていくので、練習をすれば誰でもできるようになります。ちょっと地味なんですけどね。必ず見てくださっている人はいると思うと、使命感はあります。 今後の目標は、もっと迅速に、正確に対応できるようになりたいと思います。

(2012年入社)
「復帰するときは不安もたくさんありました」
(2012年入社)

家で字幕放送が流れていたときの驚き

入社したばかりの頃、家族にはまだ業務内容を話していないのに家で字幕放送が流れていたことがあります。「字幕放送って使われているんだ!」と実感して、すごいなと思いました。リモコンのボタン一つ押すことで、どなたでも使っていただけるサービスですので、もっと多くの方に使ってほしいなと思っています。

視覚で得る情報は大きい

字幕放送はもともと聴覚障害のある方やテレビの音が聞こえにくい方のための放送サービスですが、今は、公共の施設や大きな音を出せない状況でもご利用いただいています。大河ドラマなどは、人名が文字情報で出てきたほうがわかりやすいという方もいて、視覚で得られる情報は大きいと思います。

同じ生放送でもニュースと情報番組では違う!?

アナウンサー1人が決められたニュース原稿を読む場合は、事前に仕込みがしっかりできます。しかし、同じニュースでも、中継などは構成表通りにはいきません。また、情報番組はフリートークが前提なので、出演者が何を話すか分かりません。なので、周辺の情報を頭に入れ込んでおく必要があります。基本的にはどちらも幅広い事象を知っておくべきだと思うので、その点は業務内容に違いはないと思います。

ニュース系の脳から芸能系の脳へ

ニュース番組では、そのときの政治の動きを頭に入れておこうと思いますし、次の日に情報番組を担当するのであれば、その日に番組で取り扱うテーマなどについて少し頭に入れておくようにします。切り替えは大変ですね。前の情報を引きずってしまうと、「あれ?」と思ったり、「本当にこの番組についての情報だったかな?」など、情報が少し混乱してしまうこともあるので、そのあたりは気をつけています。私自身は切り替えのために、一瞬、頭を無にする、違う話題を一瞬頭にもってきて切り替えるようにしています。

最初はキーボードに触れる手さえも震えた

この業務を始めたときは、緊張のあまり思ったように動けなかったです。練習なのにキーボードに触れる手さえも震えて。アナウンサーの声も全然頭に入ってこなくて、間違っている箇所がどこかさえ分かりませんでした。本番は頭が真っ白になってしまって、一緒に業務にあたっていた先輩に助けてもらっていました。自分が修正すべきところを先輩が対応してくれたときに、はっと気づいて、自分のパートをきちんとやらなくちゃ、と我にかえって。手は震えていましたが何とか終わって、先輩には「ご迷惑をおかけしました」と言いました。先輩は「大丈夫だよ」と言ってくれるので、安心して、2回、3回やっていくうちに慣れてきて。だんだんとですが、今は慣れてきていると思います。

字幕を通してより多くの人に番組を楽しんでもらいたい

今後は、今まで以上に丁寧に字幕をつけることができればいいなと思っています。多くの番組に字幕をつけることでNHKの番組をより多くの人に楽しんでいただけるのではないかなと思っています。

(2017年入社)
「復帰するときは不安もたくさんありました」
(2017年入社)

『ら抜き』言葉を使わなくなった

この仕事を始めて、「見れる」「食べれる」のような『ら抜き』言葉がすごく気になるようになりました。字幕で正しい日本語を使うように気を配るので、言葉に対する意識が変わって。私自身も『ら抜き』言葉はほぼ使わなくなりましたね。

“リスピーク“で音声認識装置を補う

番組内で2人以上が同時に話すと、音声認識装置では認識しづらくなります。そのときは“リスピーク”といって、担当者が番組の音声を聞きながら復唱することで認識率を高めます。例えば、天気予報を2人が会話しながら伝える場合、「土日の天気を見ていきましょう」「さぁ土曜日です」「土曜日の天気は・・・」というように、「土曜日」という言葉が何度も出てくることがあります。そのときは取捨選択して、「土曜日は・・・」だけにするなどしています。もちろん意味が変わってしまうほど変えてはいけないので、気をつけながら、本当に少しなんですが。

無駄のない専門的な解説が難しい!

語尾が曖昧だったり、文の最後まで聞かないと分かりづらいときもあるのですが、何とかやりきっています。難しいなと感じるのは、専門的な解説をされる方とアナウンサーとのやりとり。
とにかく無駄なところがなく、ずっとしゃべり続けなくてはならないので集中力が必要です。かなり早口の方もいらっしゃいますし、専門用語もたくさん出てきますが、リスピークをしないと字幕を出せなくなってしまうので大変です。

ヘリの音が混じると音声認識してくれない

ニュースで空からの情報をお伝えすることがありますよね。そのときのリポーターの声はヘリのバラバラという音が邪魔をして、音声認識ができません。先日、豪雨の影響で川が氾濫している様子をヘリから伝えるニュースがあったのですが、リポーターの声はヘリの音にかき消されて認識されないので、「◯◯川の様子です」とリスピークしました。定時ニュースで川の名前の情報も入っていたので対応できましたが、固有名詞は特に注意が必要なので緊張しますね。

字幕放送が役に立っているのを実感

仕事をしているときは、字幕を見ている人がいることを実感できないのですが、放送センターの外で実際に字幕放送を見ている人や、字幕放送が出ているテレビを見ると、「ちゃんと役に立っているんだな」と感じます。

日本語の表現に興味がある人は向いている

この仕事に向き不向きがあるとしたら、落ち着いている人は向いていると思います。また、今、知らなくても「こういう表現があるんだ」と覚えて蓄積していける人。単純に日本語の表現に対して興味がある人は、「さっきの表現、なんだったっけ?」と、その場で調べて理解して、次に活かせると思うので向いていると思います。私自身、仕事を始めてから語彙力がとても増えました。まだ知らない単語がたくさんあるので、 この先も仕事を通して学んでいきたいと思います。